ユロ元環境相の性的暴行疑惑、政界を騒がす

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ユロ元環境相を巡る性的暴行疑惑が再浮上し、政界を騒がす事態となっている。マクロン政権は野党勢力からの批判への反撃に乗り出した。
ニコラ・ユロ氏は66才。自然保護を訴えるテレビ番組のプロデューサーとして活躍し、シラク政権以降は歴代の大統領に環境問題で進言する斯界の有力者として知られていた。2017年のマクロン現政権発足とともに環境相として入閣したが、政策上の対立を理由に2018年9月に辞任していた。性的暴行疑惑は、閣僚在任中の2018年2月に最初に浮上。2008年に検察当局が不起訴処分を決めた案件が報道されたが、この時はシアパ男女平等閣外相(現在は市民権担当相)をはじめとする閣僚らがユロ氏を擁護し、ユロ氏が進退を問われることはなかった。新たな疑惑は、24日に国営フランス2が報道番組の中でユロ氏の「被害者」らの証言を放送したことに伴い浮上。ユロ氏はこの放送に先立ち、疑惑を全面的に否定した上で、公の活動から完全に引退すると言明。自らの名前を冠した財団の名誉会長職からも退くと説明した。なお、番組の放送を受けて、パリ地検は疑惑に関する予備捜査の開始を決めている。
野党勢力からは、マクロン政権がユロ氏の「罪状」を知りながら庇い続けたとする批判の声が上がっている。マクロン政権はそうした批判に対する反論に着手。ユロ氏が在任中に新たな疑惑について大統領らが知らされていた事実はないとし、ユロ氏との関係が深かった環境派勢力や、広く左派陣営こそ、情報を知りうる立場にあったはずだと反論している。矛先を向けられたオルフラン下院議員は、環境政党EELVのジャド大統領候補の報道官の職を退くことを発表した。