政府、観光部門の振興策を公表:19億ユーロを超える規模に

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カステックス首相は20日、観光部門の振興策を発表した。総額で19億ユーロ強の予算を設定した。新型コロナウイルス危機の打撃が続く観光部門に足元の支援を与えつつ、将来的な持続可能な観光への転換を図るための投資の促進を目指す。
危機前の2019年の時点で、フランスはインバウンド観光客に由来する収入という点では、米国とスペインに次ぐ第3位にとどまっており、収益の点でも効率的な観光資源を開発することが課題となっている。気候変動への対応も必要となる。首相は、2030年時点でフランスを「持続可能な観光」分野における世界トップにするとの目標を設定、観光部門における投資促進に軸足を置いた振興策を発表した。
具体的には、13億ユーロを、復興プランなどの枠内で観光部門向けに融資。BPIフランス(公的投資銀行)とバンクデテリトワール(地方政策の公的銀行)を通じて融資する。これに加えて、総額5億ユーロ強が新たな予算項目として設定された。うち1億5000万ユーロは、インフラ、輸送、観光事業の「グリーン化」に資金を供給する新たな基金に充当される。また、1億ユーロが、危機の打撃が続くビジネス観光・イベント業向けの援助金となる。さらに、1億6500万ユーロが、旅行の公的再保険制度の導入に絡んだ旅行代理店向けの援助に充当される。求人難の観光部門向けの人材育成には2年間で1000万ユーロが投入される。