特別展「外国人ピカソ」、パリの移民歴史博物館で

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パリの移民歴史博物館で「外国人ピカソ」の特別展が始まった。2022年2月13日まで開催される。
パブロ・ピカソ(1881-1973)はスペイン出身で、1900年頃にパリに移り住んだ。特別展は、「ピカソという外国人」という研究書を公刊したアニー・コーエンソラル氏が企画した。ピカソの作品を年代順に展示しつつ、公文書などの資料を元に、ピカソへのフランス政府の対し方がどのように変わっていったのかを跡付け、映像資料などを含めて多角的に提示している。有名な「洗濯船」に移り住んで間もない1901年より、フランス政府はピカソを「無政府主義者」に分類し、監視対象としていた。建物の管理人の証言と、スペイン出身者との交友関係が主な根拠となり、特に、売春婦や物乞いなどを好んで描いたことが当局の目を引いたという。この最初の記録の影響は長く続き、1940年になされた帰化申請が却下される理由ともなった。第2次大戦後の1948年、ピカソは作品10点を国に寄付し、「特別市民」の地位を認められた。特別展では、ピカソのさまざまな作品を、当時の政治的な状況との対応において鑑賞できるよう工夫した展示がなされている。