「税務情報提供者」制度で目立った成果=下院報告書

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レゼコー紙は5日付で、「税務情報提供者」制度に関する下院報告書について報じた。制度の適用拡大などを提案する内容となった。
「税務情報提供者」制度は2016年12月に導入された。大型の脱税案件について情報を有する者から通報を得て、税務当局が調査を実施するというもので、提供者には報奨金が支給される。いわゆる「ホイッスルブロワー」とは異なり、当局は身柄の保護等は約束せず、匿名で扱うことのみを約束する。下院報告書によると、情報提供件数は、初年の27件に対して、3年後には71件へ増加。成果としては、2017年1月から2021年9月までの期間に、6人の提供者から得られた情報を発端とする調査で合計1億1000万ユーロの追徴課税が実現し、6人には合計で180万ユーロの報奨金が支給された。徴収額に「費用」が占める割合はわずか1.5%と、効率の高い制度と考えることができる。
創意工夫に富み、複雑化する脱税の手口を当局が察知することが可能になるのも、制度の利点として挙げられる。同制度は、2021年年末までの予定で、推定脱税額10万ユーロ超の案件を受け付けるという形に対象範囲が拡大されているが、下院報告書は、この試験期間をさらに延長して、効果を評価することを提案している。報告書はさらに、報奨金が徴収額に占める割合を最大で15%まで引き上げることも提案。その一方で、「情報提供者」に対する当局係員への恐喝事件等も発生していることから、担当係員の匿名化を含む安全強化の措置の導入も勧告した。