仏バイオベンチャーのDNA Scriptは26日、1億4200万ユーロの資金調達を発表した。従来からの株主(BPIフランス、Kurma Partners、LSP、Illuminaなど)の加えて、新たにFidelityなど米国のファンド数社が出資した。
DNA Scriptは酵素によるDNA合成の新手法を開発した。その商用化に向けて今回の資金調達に踏み切った。同社は2014年に設立。石油大手トタル(現トタルエネルジー)のOBである3人の研究者が起業した。現在の従業員数は130人で、パリ首都圏に本拠を置く。合成DNAは、新たな治療法、ワクチンや医薬品の開発とその試験など用途が多く、その世界市場規模は数十億ドルに上る。現在は化学的手法による合成が主流で、これには専門的な施設とスキルが必要であることから、専門の下請け企業が専ら請け負う形になっている。化学的手法に伴う健康や環境への危険性に加えて、時に数週間という時間がかかることから、代替的な手法が確立すれば大きな需要が見込める。DNA Scriptは、小型の合成装置を開発。これを需要家に販売し、材料をカートリッジの形で供給することで、いわばエスプレッソマシン的な「DNAプリンタ」として提供することを目指している。新型コロナウイルス危機を経てサプライチェーンの混乱と対外依存の懸念への意識が高まる中で、需要家に自前で作製できるようにするソリューションを供給することは、大きなセールスポイントとなり得る。