仏貿易赤字、危機直後の水準まで拡大:輸入額の増大が響く

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7日発表の税関統計によると、フランスの貿易赤字は8月に66億7000万ユーロに上った。前月比でわずかに縮小した。半面、直近3ヵ月の平均でみると、貿易赤字は70億ユーロに上り、その前の3ヵ月間の平均である66億ユーロと比べて拡大した。直近3ヵ月間の月間平均輸出額は416億ユーロ、同輸入額は486億ユーロとなり、輸入の増加が特に目立った。これは、価格の上昇に伴う輸入額の膨張に主に由来している。特に、中間財の輸入額は145億ユーロとなり、過去最高を記録した。中間財の貿易収支は25億ユーロの赤字となり、赤字額は過去最高の水準に達した。エネルギー製品の貿易収支は34億ユーロの赤字を記録。炭化水素価格の上昇が輸入額を押し上げた。
貿易赤字は、新型コロナウイルス危機を経て、2020年春季に月間平均73億ユーロと歴史的に極めて高い水準に跳ね上がっていた。この時は、輸出と輸入がともに急減しており、輸出の大幅減が赤字の拡大を招く構図となっていた。その後、貿易収支は改善に向かったが、足元では再び拡大傾向にあり、8月には2020年春季に近い水準まで拡大した。現在の収支悪化は、1年前とは逆に、価格上昇に伴う輸入額の増加が主因となっている。