ゼムール氏、大統領選挙支持率で2位に

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2022年4月の大統領選挙に向けた世論調査で、右翼の論客エリック・ゼムール氏の第1回投票における支持率が初めて2位となった。シャランジュ誌の依頼で行われた世論調査の結果が10月6日に発表された。
ゼムール氏はまだ出馬を正式表明していないが、支持率はこのところ急速に伸びている。6日に発表された世論調査では、保守陣営の候補が最も有望なベルトラン氏(オードフランス地域圏議長)となった場合で、ゼムール氏の支持率が17%と、極右RNのマリーヌ・ルペン候補の15%、ベルトラン候補の13%を抑えて第2位となる。保守陣営がほかの候補を擁立した場合には、ゼムール氏の支持率は18%とさらに高くなり、いずれの場合でもルペン候補が3位、保守が4位という序列に変わりはない。
これまでの調査では、マクロン大統領とルペン候補が決選投票で対決するという構図が定着していたが、それが今回、初めて崩れたことになる。この打撃は特にルペン候補において大きい。ゼムール氏の支持率上昇はルペン候補の支持率後退と並行しており、移民問題などで過激な姿勢を打ち出すゼムール氏にルペン候補が従来の支持層を切り崩されていることがわかる。保守陣営にとっても影響は大きく、ルペン候補を追い上げる第3の候補という立ち位置さえ固められなければ、決選投票への進出は望むべくもなくなる。
ただし、過去の例を見ても、早い時期に支持を伸ばした候補が支持を維持できるとは限らず、ゼムール氏が有利にレースを続けられるかどうかはまだわからない。また、ゼムール氏の過激な主張に拒否反応を示す国民も多く、ゼムール人気が天井知らずになるとも考えにくい。いずれにしても、トリックスターの風格は十分と言えようか。