欧州連合(EU)は現在、自動車排ガス規制の次世代版となるユーロ7の策定作業を進めている。2025年の施行が予定される。欧州委員会が12月から1月にかけて最初の規制案を提出し、続いて欧州議会とEU理事会による審議が開始される。その内容を巡り、既に激しい綱引きが始まっている。
EUは、2050年までにゼロエミッション化を実現することを目指しており、その枠内で排出ガスの規制をさらに厳しくする構え。具体的には、Nox(窒素酸化物)の排出上限が2分の1以下(案により3分の1、さらには4分の1以下にも)に引き下げられ、さらに、これまでは規制の対象となっていなかった物質(微小粒子状物質、メタン、亜酸化窒素N2O、アンモニア、ホルムアルデヒド)が追加されるという。検査の条件も厳格化される。
自動車業界は過度な規制強化を避けるべく、強く働きかけているという。フランス政府は特にこの問題で規制強化に難色を示しており、ルメール経済相は4月半ばの時点で、取り沙汰されている案は不適切だとの見解を示していた。業界側も、2035年にもエンジン搭載の車両の販売を全廃するという議論がなされる中で、排ガス規制を過度に推し進めるのは、無益な投資を強いることにほかならないと主張。仏経済省は、新規制の導入により、1台当たりの価格は1000-1500ユーロ程度上昇するとの試算を示し、これでは買い替えが進まなくなり、排気ガス削減という目標に照らしてむしろ逆効果であると主張している。対する環境保護派は、自動車メーカーが強力なロビー活動を展開して規制を妨げようとしていると批判。販売価格の上昇は100-500ユーロ程度に過ぎないとも主張している。