大手企業2社が5日、相次いで人員削減計画を発表した。経済の停滞の影響が雇用に及んでいることを印象付けた。
まず、食品小売大手オーシャンが、2400人に上る人員削減計画を労組に提示。同社の国内事業は1-6月期に大幅赤字を記録しており、販売も5%の減少を記録している。競合と比べて2ポイント高い人件費を圧縮して巻き返しを図る。具体的には、リール市にある本社機能の合理化を通じて784人を削減。また、店舗規模の縮小と品揃えの見直し(食品以外の取り扱い製品の絞り込み)を通じて915人を削減する。配達事業も合理化して224人を削減。さらに、不採算店舗(大型店3店、スーパーマーケット1店)を閉鎖して466人を削減する。オーシャンを保有するミュリエ一族傘下の企業への配置転換を含めて対応し、最終的な削減幅は労組との協議を経て決める。同社はこの計画により、年間で3億7500万ユーロの節減を達成し、人件費率を12.5%にまで引き下げることを目指す。
タイヤ大手ミシュランは、国内2工場(バンヌ及びショーレ)を閉鎖して1250人を削減する方針を労組に提示した。ショーレは従業員数が約1000人で、小型商用車向けのタイヤを製造している。バンヌは従業員数が225人で、タイヤ部品を製造している。同社は、工場の存続のためにあらゆる手を尽くしたが、閉鎖以外の方法がなくなったと説明。同社はこの閉鎖に係り2024年中に3億3000万ユーロの費用を計上し、対象となる従業員の再就職先の確保に全力を尽くすと約束した。両工場の事業は段階的に削減し、2026年年頭に完全閉鎖する。労組側はこの発表に先立ち、ジュエレトゥール市の工場(タイヤ用繊維製造)も閉鎖される恐れがあると発表していたが、同工場については、欧州の複数の工場における生産事業をここに集める形で、事業を継続することが決まった。政界はミシュランの発表に強く反応しており、バルニエ首相も、下院における代表質問の機会に、過去にミシュランに支給した補助金についてその使途を調査すると予告した。