報道によると、仏政府は、オンラインカジノを解禁する方針を決めた。下院で審議中の予算法案への修正案の形で、解禁に関する条項を提案するという。
オンラインカジノを禁止しているのは欧州連合(EU)諸国中では少数派で、キプロスとフランスのみが禁止を維持しているという。仏政府は、財政赤字削減の必要から、追加税収を確保する様々な可能性を探っており、その一環でオンラインカジノに目をつけた。オンライン賭博規制機関ANJの調査によると、2023年には、国内で300万人程度が外国のオンラインカジノにて賭けをしたとみられており、どのみち抑止が難しい非合法の利用を合法化して、そこから税収を得る方が得策だと仏政府は判断したのだという。仏FDJ(宝くじ)は最近に、オンライン賭博業者Kindredを買収したが、オンラインカジノも展開するKindredを傘下に収めた旧国営企業のFDJが、この解禁で優位に立てる可能性もある。
オンラインカジノの解禁は、オンライン賭博業界がこれまで熱心に要求してきた。これに対して、国内にカジノを展開する業者らは、競争で苦境に立たされると予想し、実店舗を展開する業者にのみオンラインカジノの営業を認めるよう提案していた。オンラインカジノの解禁により、年間10億ユーロ程度の追加税収が得られるとする試算もある。政府はこの機を利用して、賭博業界全体を対象に課税を強化し、さらに5億ユーロ程度の追加税収を確保する意向だとする報道もなされている。半面、規制機関のANJは、解禁に伴い依存症が特に若い世代に広がる恐れがあると警戒している。