職務遂行内閣は3日、国会の各政治勢力に対して予算関連の文書を送付した。予算運営が厳しい状況にあることを伝えて、次期政権に対して可能な対策を提言する狙いがある。
報道によると、この文書は、現状では財政赤字の対GDP比率が2024年に5.6%まで膨張すると予想。従来の予測は5.1%だった。また、補正措置が講じられないなら、2025年にも引き続き同比率が6.2%まで膨張するとの予測を示した。同じ仮定の下で、同比率は2026年に6.7%、2027年に6.5%となり、政府が欧州委員会に対して約束した「2027年に3%以内」との目標から大幅に逸脱する。これを是正するとしたら、2027年時点で1100億ユーロの節減を実現する必要が生じる。より緩やかな節減を目指すとすると、節減規模を2025年時点で300億ユーロ、2028年時点で1000億ユーロとして、財政赤字の対GDP比は2025年に5.2%、3%以内を達成するのが2029年にずれ込む。これだと欧州委の承認を得られるか微妙になる。
マクロン大統領はこれまで、増税なしという方針を掲げてきたが、大統領に近い筋も、歳出削減と増税を組み合わせて財政健全化を進める必要があると認めている。国会議員らに送付された文書は、歳出削減についていくつかの可能な方法を提示。2022年に990億ユーロに上った企業向け各種援助については、2027年までに30億ユーロの削減を実現する青写真を示した。この中には、CIR(研究税額控除)の4億5000万ユーロ削減や、バイオ燃料向け物品税優遇措置の削減(7億ユーロ)などが含まれる。このほかでは、医療機器の患者自己負担の拡大など、国民の負担増を招く措置も提案されているという。