8月30日発表のINSEE速報によると、フランスのインフレ率は8月に前年同月比で1.9%となった。前月の2.3%から鈍化し、3年ぶりに2%台を割り込んだ。
昨年8月には電力料金の引き上げがあり、このため、今年の7月までは前年同月比で上昇幅が大きかったが、8月にはこの効果がなくなったため、インフレ率の鈍化が実現した。自動車燃料等の他のエネルギー製品の価格も低下傾向を示している。食料品の値上がりも、1年前には11.2%に達していたが、この8月には0.5%まで鈍化した。半面、サービス料金は全体で3.1%の上昇を記録。季節的な要因と、五輪の影響があり、宿泊・輸送を中心に料金の上昇が目立った。専門家らは、国際的な紛争の新展開やエネルギー価格の動揺がない限りは、今後数ヵ月間にインフレ率は2%前後で推移すると予想。2025年にかけてはさらに物価は沈静化が見込めるという。
その一方で、INSEEはフランスの4-6月期の経済成長率(前の期比)を、速報の0.3%から0.2%へと下方修正した。内需(在庫変動除く)のGDP成長率への貢献度を0.1ポイント引き下げた。民間部門雇用数も同期に0.1%の微減を記録しており、経済と雇用の先行きが懸念材料となっている。