ロマンス詐欺の脅威、大手銀行も注意を喚起

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

その人とはSNSで偶然に知り合った。間違って少しエッチな写真を送っちゃったごめんなさい、というのがきっかけだった。それからメッセージのやり取りがあって、聞けば資格取得の講座を受けるのにお金が足りないという。いわれるままに100ユーロをタバコ販売店から送金した。販売店では番号が印字されたチケットが渡されて、その番号があればどこでも換金できるという便利なサービスだ。また100ユーロを送ろうとしたら、タバコ販売店の人に止められた。これは詐欺によく使われるので大丈夫ですかという。いや大丈夫だといってやはり送った。
これがロマンス詐欺の典型的な例である。エッチな写真はもちろん本人のものではない。向こう側にいるのは女ですらない。西アフリカの某国など本場の「業者」で、大量にこの種のメッセージを送りつけて、反応があるのを待っている。類似の詐欺としては、オレオレ詐欺の変種のようなのがある。これは、WhatsAppのようなメッセンジャーアプリに「お母さん、スマホなくしちゃった。それでお金が足りないから送って」のようなメッセージを送りつけて、心当たりのある人が自動的に騙されるのを待つ、という手口だが、いずれの場合も、被害者は自発的に送金を行っている点に特徴があり、救済は難しい。大手銀行クレディアグリコルは最近に、この種の詐欺に対して警戒するよう顧客に促すキャンペーンを実施。本来は、上記の実例にもあるように、足がつかない送金サービスを用いるのが主流だが、最近では口座振替にも手口が広がっているようで、銀行もキャンペーンに乗り出したようだ。