アタル新内閣の閣僚名簿発表、ダティ元法相が文化相として入閣

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アタル新首相の内閣の顔ぶれが11日に発表された。12日午前に初閣議が行われる。
11日には、11人の大臣と、3人の担当相の名簿が発表された。その他の担当相及び閣外相の名簿は追って発表される。大臣の数はこれまでよりも少なくなり、少数精鋭のイメージを打ち出した。アタル首相は11日夜のテレビインタビューの機会に、行動し、成果を挙げることが内閣の務めであるとし、閣僚には国民に尽くすため200%の働きを求めるなどと説明した。
発表された14人の閣僚は、男女7人ずつで同数を保ったが、11人の大臣に限ると、男性が7人、女性が4人という構成になる。新内閣では、ルメール経済相、ダルマナン内相、フェノー農相、ルコルニュ軍隊相、デュポンモレティ法相、ルタイヨー高等教育相が留任。主要閣僚の多くが留任という形になった。その中では、パニエリュナシェ・エネルギー移行相が担っていたエネルギー問題の権限が、ルメール経済相の権限に追加されたことが注目される。パニエリュナシェ氏は、14人の閣僚リストの中には入っていない。
新入閣の中では、やはりラシダ・ダティ元法相(女性)が文化相に起用されたのが目を引く。ダティ氏は北アフリカ系で、サルコジ右派政権で法相に抜擢され、現在はパリ市市議を務め、パリ市議会の保守野党「共和党」グループを率いていた。歯に衣着せぬ尖った性格で知られ、マクロン政権についてもこれまで裏切者の集まりだなどと厳しく罵倒していただけに、今回の入閣には意外の念が付きまとう。共和党のシオティ党首は入閣の発表を受けてダティ氏を除名すると予告した。ダティ氏は、カルロス・ゴーン事件絡みで収賄容疑にて予審開始通告(担当の予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き)も受けており、同氏の起用が論争を引き起こすのは避けられない。いずれにせよ、この人選は、内閣が右寄りの方向を探っていることを表しているものと考えられる。
右寄りの人選ということでは、やはりシラク右派政権下で閣僚経験があるカトリーヌ・ボートラン氏(女性)が、労働・保健・連帯相として入閣したことも注目される。幅広の権限を伴い、席次では第3位の閣僚として処遇された。
他方、外相には、与党ルネサンスのステファン・セジュルネ幹事長が起用された。セジュルネ氏はアタル首相の内縁の夫でもあったことで知られる。マクロン大統領の信任も厚く、求心力強化を目指した人選と考えられる。
ウデアカステラ・スポーツ相は留任の上、アタル首相の前職である教育相の職務を引き継ぎ、昇格となった。アタル首相が、重要政策課題として位置づける教育改革を自ら統制することを念頭に置いた人事とみられる。