イスラム過激派による襲撃事件:教員1人が死亡、犯人は逮捕

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13日に学校が刃物を持った男性により襲撃される事件があった。教員1人が死亡し、数人の教職員が負傷した。犯人は急行した警官隊により逮捕された。
事件があったのは北仏アラス市(パドカレー県)の公立ガンベッタ中学・高校で、刃物を持った若い男が10時55分頃に押し入ろうとした。男は警備員を負傷させ、その場に居合わせた中学校の国語教師ドミニック・ベルナールさん(57)を刺殺した。その後、犯人を確保しようとした教職員ら数人を負傷させたが、学校建物内には入れず、通報を受けて急行した警官隊により逮捕された。
逮捕されたのは、この学校で数ヵ月間前まで学んでいたモハメド・モグシュコフ容疑者(20)。同容疑者はロシア南部のカフカス地方イングーシ出身で、2008年に両親と共にフランスに入り、難民認定を申請したが却下され、2014年に国外退去処分を受けるところだったが、人権団体等による反対運動もあり取りやめとなり、フランスに残ったという経緯がある。父親はその後に本国に送還され、容疑者の兄は2019年に大統領府を狙ったテロ計画に関係した容疑で逮捕され、今年4月に有罪判決を受けて現在は服役中となっている。容疑者本人もイスラム過激派として当局によりマークされており、通称「Sファイル」に登録されていた。犯行前日の12日にも当局は容疑者とその家族などを対象にした検査を実施したが、身柄は拘束されなかった。この検査が犯行の引き金になった可能性もあるが、当局は、検査に前後して、こうした襲撃がなされる可能性をうかがわせる材料はなかったと説明している。
目撃者らの証言によれば、容疑者は犯行時に「アッラーアクバル」と叫んでおり、標的として地理・歴史の教員を探していたといわれる。ちょうど3年ほど前の2020年10月16日にも、パリ郊外で、地理・歴史の教員サミュエル・パティさんがイスラム過激派の男性に斬首されるという事件が発生しており、これを念頭に置いた犯行である可能性が指摘されている。犯行はいずれも金曜日に発生しており、3年前の事件でも、犯人がイングーシの東に接するチェチェンの出身だったというつながりがある。足元のパレスチナ・イスラエル紛争が犯行の呼び水になった可能性もある。
政府はこの襲撃事件の発生などを踏まえて、13日夜の時点でテロ警戒プラン「ビジピラット」の最高段階である「テロ緊急警報」を発動。最大で7000人の軍人が16日夜までに国内の治安維持活動に動員され、当面の間、配備が継続される。国内では緊張が高まっており、14日には、爆弾テロの予告などを受けて、ルーブル美術館やベルサイユ宮殿等で一時、訪問客を退避させる騒ぎがあった。いずれも虚偽の予告や誤報であり、被害は出ていない。