仏政府、EV購入補助金の新たなルールを発表へ:中国製EVを対象から排除

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仏政府は9月19日、電気自動車(EV)購入補助金の新たなルールに関するデクレ(政令)を官報で発表する。2024年から適用される。新たなルールでは製造にあたってのCO2排出量が考慮される。実質的に、中国の工場で生産されたEVを排除する内容となる。
新ルールはADEME(仏省エネ庁)が準備した。鉄鋼やアルミなど原料の製造段階、組み立て時、バッテリー製造、生産地からフランスまでの輸送のそれぞれに係り発生するCO2を考慮に入れる。補助金対象となるEVの製造にあたっての合計排出量は、小型車で9トン(CO2換算)、より大型のEVで14.75トン未満であることを要する。
これにより、SAIC(上海汽車)傘下のMG、BYDといった中国メーカーに加え、中国で製造するテスラのようなメーカーのEVは補助金対象から排除される見込み。報道によると、政府は新ルールを通じて、同時に、発電方式の脱炭素化がそれほど進んでいない中東欧を含めた欧州で製造されたEVの保護を目指している。中東欧にEV製造工場を保有している仏ルノーやステランティスを想定した措置と見られる。ただし、ルノーは2024年9月の投入を予定する「R5」において、2025年3月まで中国製のバッテリーを使用するほか、プジョーが来年初頭の投入を予定する「3008」EVバージョンもBYDのバッテリーを使用するなどの複雑な事情もあり、現段階ではどのモデルが補助金対象となるかは定かではない。
今後、自動車メーカーは10月10日よりADEMEにEVに関する説明書類を提出。ADEMEはこれを検討した上で、12月15日に補助金対象となるモデルのリストを発表する。ただし、12月15日までに発注され、その後3ヵ月の間に納入されたEVには、従来の補助金ルール(4万7000ユーロ未満のモデルの購入に5000ユーロを支給)が適用される。