ベルギー政府、「現金お断り」の禁止を計画

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ベルギー政府は、現金決済の受け入れを商店に義務付ける内容の法案を準備している。デルマーニュ経済相(副首相)が今夏にも法令をまとめることを望んでいる。
ベルギーでは、2022年より、キャッシュレス決済の受け入れが商店に義務付けられた。それ以来で、商店の中には、現金決済の受け入れを拒否するところも出始めており、最近では、ベルギー国鉄が車内精算における現金受け入れを廃止することを決定し、社会問題としてクローズアップされるに至っていた。政府報道官は、子どもや高齢者、情報弱者などが締め出されることがないように、現金を使用する権利を保障すると説明。現金決済を拒否する商店に対する罰則の導入も法案に盛り込む方針。
政府は、資金洗浄や脱税等の対策として、キャッシュレス決済の受け入れを義務付けた。現金決済の上限額は3000ユーロに設定されている。その一方で、衛生危機を経て現金決済の後退は加速しており、それと並行して、銀行によるATM網の整理も進んだ。10年間でATMの台数は半分に減少しており、それがキャッシュレス決済の利用をさらに押し上げるというループが生じている。政府は3月に、銀行業界との間で、ATMの維持に関する合意を結んだが、合意には拘束力がなく、しかも、2025年までには45%のATMがさらに削減される見通しとなっている。