法定最低賃金(SMIC)に関する政府諮問委は11月30日、1月1日付で行われる年次改定に関する意見書を提出した。SMICの追加引き上げをしないよう勧告し、次期改定幅は1.8%が順当だとした上で、SMICの自動改定方法の変更も提案した。
SMICは、インフレ率(所得水準下位20%の世帯を念頭に置いた製品パネルの構成に基づいて算出)に連動する形で、毎年年頭に自動改定される。この改定による引き上げ率は、ワーカー・従業員の平均時給推移に基づいた購買力の増加率(増給率マイナス物価上昇率)の半分を下回ってはならない。さらに、インフレ率が改定時より2ポイント以上上昇した場合には、随時、その増分に連動する形でSMICが改定される。このほかに、政府は自らの裁量により、引き上げ幅を上乗せすることができる。
インフレ亢進が進む中で、SMICは年次改定以外に、2021年10月、2022年5月と同8月に改定がなされており、2021年10月以来の改定幅は合計で実に8%に達している。SMICの過度な上昇を警戒する声もある中で、諮問委は、政府の裁量による追加引き上げをしないよう勧告すると共に、改定方法を見直すべきだとする判断を示した。具体的には、▽代表的な業界の産別最低賃金の推移に依拠した自動改定への切り替え、▽現在の局面では、SMICの増加率が平均時給の増加率を大きく上回っているが、そのような状況を回避するためにスライド改定の制度を見直す、▽自動改定の制度そのものを部分的又は全面的に廃止する、の3案を提示した。制度改正の場合には、諮問委の構成や役割も見直すよう勧告した。