国際通貨基金(IMF)は21日、対仏4条協議報告書を公表した。フランスに対して支出抑制のための構造的改革などを勧告した。
報告書は、フランスがウクライナ危機に伴うエネルギー価格高騰の経済への打撃を軽減するため、財政面で高い費用を負担したと指摘し、費用節減を進めることが急務だとの見方を示した。その意味で、燃料割引制度の打ち切りと、世帯等向けのエネルギー価格上限の引き上げを決めたことを評価。全般的な支援を、対象を絞り込んだ支援へと切り替えるのが妥当だとした。
報告書は2023年のフランスの経済成長率を0.7%と予想。この予測は政府公式予測の1%より低い。報告書は、法定最低賃金(SMIC)の引き上げなどで、物価上昇が2巡目を迎える可能性もあるとして、警戒を促した。
財政赤字の対GDP比については、政府は2023年に前年と同じ5%に抑制するとの目標を定めているが、報告書は、赤字削減が2024年に先送りされたことに懸念を示しつつ、2023年の財政赤字の対GDP比については、5.4%まで膨張するとの予測を示した。その上で、支援措置の絞り込みを通じて同比率を4.7%まで圧縮可能であるとも指摘し、仏政府に対して努力を求めた。「生産に係る税」の減税を延期するなどの方法を示唆した。
より長期的には、10年後の財政赤字の対GDP比を0.4%まで引き下げることを目標に、年金改革をはじめとする構造改革を推進するよう求めた。ただし、エコロジー及びデジタル分野の投資については加速が必要だと指摘した。