INSEE発表の速報値によると、猛暑が平年より早く訪れ、また長く続いた今年の夏には、1万1000人を超える死亡者増が観察された。この数字は、6月1日から8月22日までの期間の死亡者数を、新型コロナウイルス危機の発生前の2019年同期と比較して得られた。6月には4%増、7月には13%増を記録したという。
死亡者の増分の死因をすべて猛暑に帰すことはできないが、死亡者数のピークが高気温の時期とおおむね一致していることから、猛暑と死亡者数の増加には明確な関係があることがうかがわれる。ちなみに、死亡者数のピークは、6月19日と7月19日に来ているが、猛暑の時期は、6月15-22日と7月12-25日に到来しており、続いて7月31日から8月半ばまでに第3波が訪れていた。なお、8月以降の死亡者数の把握は、データが集まるまでに多少の時間を要することから正確さに欠けており、傾向が明確になるまでにはまだしばらくかかるという。
2003年の記録的な猛暑の折には、本土で1万5300人の死亡増を記録した。今年の規模はまだ把握できないが、これまでのところから推測すると、1万2000人近くになる見通しだという。2003年の教訓を踏まえて、高齢者保護の取り組みが進められたにもかかわらず、その成果があまり出ていないとする評価もあるが、20年を経て人口の高齢化が一段と進む中で、気候変動の影響がより大きく出るようになったことを指摘する向きもある。