英国で中銀が長期リセッションの発生を予測し、危機感が強まる中で、野党・労働党はジョンソン首相が「行方不明」だと批判している。報道によると、首相はロンドンを離れてバカンスに出かけており、重大な経済危機のリスクを前に、政府不在の状況が生じているという。もちろん、次期首相を決める保守党党首選が展開されている中で、次期首相が就任するまでの通常業務を担当するだけのジョンソン首相は新たに重要な政策を導入する権限はなく、死に体であることは明らかだ。もともと気まぐれな面が目立つジョンソン首相なだけに、7月7日に辞任が決まってからは政務もサボりがちだと批判されていた。それにしても、9月には退任して好きなだけ休暇をとれることが確かなのだから、なにもこの時期にことさら姿を消して、政治空白を作らなくてもよさそうなものだ。なお、英政府は首相の居場所を公表することを拒否したが、スロベニアに滞在中であることが同国政府により明らかにされた。公務のための滞在ではなく、スロベニア政府の閣僚などとの会合はいっさい予定されていないという。首相の不在が物議を醸す中で、クワルテング英エネルギー相は、首相の居場所を把握しており、首相と連絡をとりあっていると発言。首相は7月末にキャリー夫人との結婚披露宴を開いたばかりであり、スロベニアには新婚旅行に出かけたのだという。度重なる虚言などを非難されて不名誉な形で退陣に追い込まれ、やる気がなくなったとしても無理はないが、せめて秋まで我慢して、残務処理に真面目に取り組む「ふり」ぐらいできなかったのだろうか。それにしても、英国民がこういう軽いノリの人にうかうかと踊らされてブレグジットに踏み切ったのはかえすがえすも残念である。