購入した新居に不法占有者がいたと主張し、ネットで話題になっていた夫婦が、実際には不法占有者がいることを知りつつ、安値でこの物件を購入していたことが判明し、各方面を呆れさせている。
問題の物件は、パリ首都圏オランビル市(エソンヌ県)にある70平方メートルの一戸建てで、チュニジア人の家族が不法占拠していた。購入した若い夫妻は、8日付のルパリジャン紙の取材に応じて、購入して入居しようとしたら不法占拠者がいて入れなかったと主張、鍵束を示しつつ、錠前が付け替えられていて入れない、などと述べていた。ルパリジャン紙が配信したニュース動画はネット上で評判となり、9日には、ダルマナン内相とドモンシャラン・エコロジー移行相が共同で、エソンヌ県県庁に対して、占拠者の強制立ち退きを即時に執行するよう指示したとのコメントを発表。同日中に県庁令が公示されるという異例のスピード解決となった。この件は複数のテレビ局が取材して報道した。占拠者の家族は同日夜に自ら退去したが、この際に覆面をした数人のグループが家族を催涙スプレーなどで襲撃する事件も発生した。
しかし、その一方で、購入者夫婦の主張に疑念があることが、ネット上で9日時点より取り沙汰されるに至った。夫妻はこの物件を14万ユーロという、この地区としては破格の安値で購入していることが判明。売買を取り次いだ不動産業者も、占拠者がいる問題物件であるからこそこの値段であることを説明して成約したことを証言。同じ理由で鍵を渡さずに契約を結んだ旨を、購入者の妻自身が認めている動画も発掘された。ルパリジャン紙は10日になり訂正のツイートを公表、購入者夫婦が意図的に虚偽の証言をして、虚偽を見抜けずに報道したことを認めて謝罪した。
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