ルイヴィトン財団美術館でハンタイの特別展

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パリのルイヴィトン財団美術館で、抽象絵画の分野で活躍したシモン・ハンタイ(1922-2008年)の特別展が開催中。生誕100周年を記念して大規模な特別展を開催した。1957年から2000年までに制作の130点余りの絵画を集めた。今回初めて公開される作品も多い。開催は8月29日まで。
ハンタイはハンガリー出身で、1952年当時の共産党体制を逃れてフランスに亡命した。今回の特別展では、ハンタイを有名にした「折り畳み」の技法の発明を起点として作品創造の展開を追っている。ハンタイは、シュルレアリスムからの決別と共に、アクションペインティングへの志向を強め、画布を布地として扱い、折り畳んで着色し、作り手にとっても広げた時に初めて全貌が明らかになるという手法を開発。偶然性の導入に加えて、画布をはみ出すようなロールオーバーの感覚や、着色されなかった部分の白が与える強い印象、そして、画布の物体としての存在感など、同時代の抽象芸術の方向性を、独自のアプローチを通じて実現した。ハンタイは強いカトリックの信仰を持ち、この手法を用いた初期のシリーズは「マリアル」(マリアの衣服)の名前を冠している。母親の衣服の褶曲に着想を得たことをハンタイ本人も語っている。