大統領選第1回投票から一夜明けて、マクロン大統領は11日、ノール県を訪問し、決選投票に向けて本格的な選挙キャンペーンを開始した。選挙公約を修正する可能性に言及した。
大統領は、第1回投票前には、大統領としての職務を優先する形で、積極的なキャンペーンは行っていなかった。決選投票においては、極右RNのマリーヌ・ルペン候補との間で、これまでより厳しい戦いが待っていることから、本腰を入れてキャンペーンを展開することを決めた。ノール県は全体としてルペン候補の支持が高い土地柄であり、あえて同県をキャンペーンの起点として選び、「国民を一人一人説得する」姿勢を強調することを狙った。
大統領は11日に、エコロジー、労働、購買力などのテーマで、国民の声に耳を傾けて公約を修正する可能性に言及。国民に幅広い結集を呼びかける以上、自らが変わらないのはおかしいと述べて、異例の対応を正当化した。決選投票に向けては、左翼「不服従のフランス」のメランション候補をはじめとして、他の候補に投票した有権者を最大限取り込むことが課題となり、大統領は柔軟姿勢を強調して支持拡大を狙っている。特に、年金改革については、定年年齢の65才への引上げという公約を、64才までの引上げへと修正する可能性も示唆。64才への引上げは、共和党のペクレス候補の公約でもあり、ここにも支持拡大への意志がうかがわれる。大統領はまた、インフレ率並みの年金最低支給額改定を7月にも行うと改めて予告し、自らへの支持が高い高齢者層への目くばせをした。