仏スポーツ用品販売大手デカトロンは29日、ロシア事業を中断すると発表した。対ロシア制裁のために商品の確保ができなくなったことを理由に挙げた。
デカトロンはロシア国内に60店舗を展開、ECサイトも開いているが、それらをすべて閉鎖する。デカトロンは、ロシアで販売する製品のすべてを輸入しており、特に、中国製の製品をドル建て決済にて輸入しているものが多い。この方式は、米国による対ロ制裁に抵触するため継続できず、制裁を回避する方策に訴えるよりは、営業を中断することを選んだ。同社は、制裁措置はすべて順守しており、世論の圧力に屈して中断を決めたわけではないとも説明。制裁措置が解除されるのを待って2500人のロシア従業員への給与の支払いを継続するとも発表した。
デカトロンはミュリエ一族の傘下企業だが、同じミュリエ一族傘下のオーシャン(食品小売)の方は、ロシア事業を継続する方針を変えていない。オーシャンはグループ年商の1割(32億ユーロ)をロシアで達成しており、ロシアの従業員数は3万人を数える(うち4割は従業員持ち株会に加入)。オーシャンは、戦争を支持しているわけではないロシア国民への食糧供給を断つのは不当だ、と説明している。他方、ロシアにおける新規投資は既に凍結されている。同じくミュリエ一族傘下のルロワ・メルラン(ホームセンター)も、ロシア事業の継続を非難されている企業だが、同社は25日にプレスリリースを発表し、「ロシア店舗を閉鎖したなら計画倒産とみなされてロシア当局による接収を許す結果を招き、ロシア政府に利することになる」と主張し、事業の継続を正当化した。