「召喚状」詐欺、コートジボワールの詐欺団が背後に

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日刊紙ルパリジャンは21日付で、「召喚状」詐欺に関する記事を掲載した。「召喚状」詐欺は、昨年から流行しているフィッシング詐欺の一種で、捜査当局を名乗るメールが無差別に送付される。このメールは「召喚状」であり、未成年者の性愛動画を視聴した容疑で裁判所により召喚されている旨を伝え、訴追されれば容疑内容が報道されるが、非公開として罰金処分で決着することも可能だと持ちかけ、「72時間以内」などの期限を設定して回答を迫る内容になっている。これに応じて回答すると「罰金」を徴収されるが、もちろんすべてが虚偽で、被害者は一方的に金銭を巻き上げられることになる。これまでに合計で80件の提訴がなされ、その被害総額は120万ユーロに上る。詐欺の被害に遭ったと気が付いていない人や、気が付いていても恥を感じて提訴をしていない人も多いと考えられ、実際の被害額はさらに大きいものとみられている。当局は2021年3月に捜査を開始。詐欺団の全貌は掴めていないが、ルパリジャン紙によれば、この種の詐欺の本場の一つであるコートジボワールからの犯行である疑いが濃厚といい、フランスだけでなくフランス語圏のベルギーやスイス、カナダにも被害が広がっている。
ルパリジャン紙の記者は、実際に詐欺メールに回答し、その後に何が起こるのか、体験談を掲載している。メールのやり取りで連絡先を教えるように言われ、教えると憲兵隊大佐マルク・ジェレを名乗る人物から電話がかかってきた。罰金額が3000ユーロに決まり、振込先の口座番号がその後にメールで送られてきた。国内の女性名義の口座であり、罰金の振込先としてはいかにも奇妙である。マルク・ジェレ大佐は黒人系の訛りがある若い声の人物で、直接に罰金を支払いにゆくと言っても応じなかった。大佐からは数日後に電話がかかってきて、「支払いが遅れている。即時にいくら払えるのか言ってくれ。そうでないと自宅へ逮捕に向かう」と圧力をかけてきた。そこで、自分はジャーナリストでフィッシング詐欺について調査中だと答えると、「何かの間違いです。追って連絡します」と言って大佐は電話を切った。その後、大佐からの連絡はないという。