ニュース専門地デジ局BFM TVは6日、仏通信大手オレンジが英携帯大手ボーダフォンとの間で経営統合に向けた交渉を行っていたと報じた。オレンジに出資するフランス政府の反対を受けて失敗したという。オレンジとボーダフォン、仏経済省はそれぞれ、この報道に対するコメントを拒否している。
報道によれば、オレンジは2020年夏から2021年初頭にかけて、リシャールCEOの肝いりで、ボーダフォンとの対等合併に向けたハイレベルでの協議を進めた。当時は両社の時価総額がそれぞれ300億ユーロ程度と、合併に有利な状況が整っていた。合併が実現すれば、独テレコムを抜く欧州最大手(年商850億ユーロ)が発足するはずだった。両社の場合、地理的な補完性が高く、競争問題が発生するのはスペイン事業ぐらいで、アフリカ事業でも進出先に違いがあり(オレンジは仏語圏18ヵ国で大手、ボーダフォンは英語圏8ヵ国で大手)、合併のメリットは大きかった。両社は反発を軽減する目的で、アフリカ事業を先行統合し、のちに本体の接近を図ることを計画したという。しかし、最終的には、オレンジの23%株式を保有するフランス政府が反対して、両社の計画は実現しなかった。ボーダフォン側が英国に本社を置くことなどにこだわり、フランス政府が応じなかったともいわれる。
BFM TVによれば、オレンジとボーダフォンの両社は、鉄塔資産を束ねたそれぞれの子会社の統合の可能性など、他の提携の道をまだ探っているという。