右翼の論客エリック・ゼムール氏が11月30日、大統領選挙への出馬意思を正式に表明した。出馬表明の動画をインターネット上で公表した。
動画は、ドゴール将軍がロンドンから行った抵抗政府樹立の宣言(1940年6月18日)を強く意識した演出となっており、ゼムール氏は時代物のマイクを前に、「フランスを救うために出馬を決意した」などと宣言。今のフランスは衰退し、第三世界化しているなどと訴え、自分の国にいるのに外国人のように感じている人々を守り、フランスを支配と征服、植民地化から救うと述べて、自らへの支持を呼びかけた。「イスラム勢力がたくらむフランス人の総入れ替え」といった陰謀論にも目くばせをした。
ゼムール氏は一時、支持率を大きく伸ばし、極右RNのマリーヌ・ルペン候補を上回る支持を集めていたが、11月半ば以来で支持は急落している。右翼の政治家ジェラール・ドビリエ氏など、ゼムール氏と近かった有力者の中にも、ゼムール氏と距離を置く人が増えている。そうした中で、ゼムール氏は挽回を期して、今回の出馬表明に踏み切ったものと考えられる。