大西洋岸でタコが豊漁、温暖化の影響か

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大西洋岸でこのところタコが大漁となっている。タコは普段はこの海域ではあまり獲れないだけに、漁民らは首を傾げている。専門家は温暖化の影響を指摘している。
オレロン島の漁港ラコティニエールを母港とする「ヤン・ドビ2世号」の船主ノーさんは、「普段は2日半の漁労でタコは20匹程度が相場だが、このところは700kg近く獲れる」と証言している。ラコティニエール漁港の責任者も、去年は年間を通じて1.8トン程度だったが、今年はこれまでで32トンを超えたと説明している。地元地域圏漁業課の専門家デュブルイユ氏は、昨年の冬は暖冬で、海水の温度が高めで推移し、繁殖したのではないかと話している。タコと共にヒトデの繁殖も目立ち、全体として漁業資源の減少も観測されており、長期的な影響も懸念されている。
足元ではタコの豊漁は漁民にとってむしろ朗報で、タコはキロ7ユーロ程度とよい値段で取引されている。スペインとイタリアを中心に需要が堅調で、その一方で、従来の産地であるポルトガルとモロッコでは今年は不漁につき、価格は高めで推移を続けている。タコはオマールエビやホタテ貝など、主力の漁業資源を捕食する危険な存在ではあるが、漁獲により調整するという道も開かれる。大西洋岸でタコ焼きを広めれば、海を守るのに役立つかもしれない。