本日は東日本大震災の14周年に当たる。あらためて被害者の冥福を祈りたい。フランスの新聞でも毎年この
時期に「Fukushima」に関する特集記事が組まれてきたが、今年はほとんど見かけなくなった。14年という
数値に訴求力がなかったり、さすがに遠い他国の出来事だったりすることも原因だろうが、フランスでは福
島事故のトラウマを乗り越えて原子力再興への気運が高まり、原子炉新設計画が国策として進められている
事態も影響しているのかも知れない。トランプ政権の影響で再エネに逆風が吹く中で、(結果論ではある
が)原子力優先を貫いたフランスの戦略は大当たりになる可能性もある。脱原子力を急ぎ過ぎた感のある欧
州諸国がそれぞれエネルギー供給の問題に直面している状況を合わせみると、究極的にどのような選択をす
るにせよ、情緒に流れず、世論に流されずに、エネルギー戦略を強固な長期的展望に立って選択することの
重要性が改めてわかる。これは、決して忘れてはならない多数の被害者・被災者への思いとは別に考えてい
かざるを得ないことだろう。