トランプ旋風

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

いきなりトランプ旋風が吹き荒れて、良くも悪くも世界の秩序が急激に変わりつつあるような印象だが、良
し悪しは一定の年月を経た上でないと判断できないだろう。トランプ大統領は関税引き上げを予告して脅し
をかけたうえで、取引に持ち込む、という戦術を用いているが、こういう駆け引きは、それが駆け引きであ
ると分かった時点で相手に対する効果が否応なく目減りする。いまはともかく、将来的に駆け引きに乗らな
い相手が増えて、苦しくなるかも知れない。脅しの効果を維持するには、時々は自分自身にも損害が及ぶこ
とを覚悟に極端な手段を動員する必要に迫られるだろう。ただし、昨年までの世界には、過剰なポリコレや
ウォーキズムによる圧迫で、息苦しさがあったことも確かで、それを突き崩す動きを歓迎する人々がいるこ
ともわからなくはない。そのうえで、気になるのは気候変動対策の後戻りだ。温暖化への警鐘にイデオロギ
ー的側面がないわけではないが、基本的には客観的に観察可能な物理的現象であって、ポリコレやウォーク
のような主観的なモラル問題ではない。気候懐疑派のほうがむしろ非科学的なイデオロギーや思い込みに囚
われているだけに、トランプ旋風は未来の世代に取り返しのつかない負の遺産を残す恐れがある。