親欧州派と親ロシア派が拮抗するモルドバ

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

モルドバで20日、大統領選挙と同時に、欧州連合(EU)加盟に向けた改憲の是非を問う国民投票が実施された。加盟賛
成が過半数だったものの、予期に反して加盟反対とごく僅差だった。同国の世論は親欧州と親ロシアの間で二分してい
る。長い間、旧ソ連・ロシアの支配下にあった国民が、いまでも親ロシアの立場をとるという心情が筆者にはまるで理
解できないのだが(旧ソ連やロシアにどんな魅力やメリットがあるのだろうか?)、それはともかく親ロシア派の勢力
が強い国を加盟国に加えた場合、EUにどのような面倒が生じるかはハンガリーなどの前例で経験済みである。こういう
国は、EUに加盟したからといって、西欧の価値観や民主主義に賛同するわけではなく、むしろロシアの影響力をEU内
で強めようとするトロイの木馬的な役割を演じ始める。それだけ西欧的な価値や思想に魅力がなくなったということで
もあろうが、ロシア的なものの呪縛が意外に強いのだともいえよう(それがどんなものなのか、筆者にはうまく想像で
きないが)。ロシアの魅力や呪縛がどのようなものかはともかく、同じ価値観やビジョンを共有できそうにない国をEU
に加盟させるのは、いいかげんやめにするほうがよくないだろうか?いったん向こう側(東側)の世界に取り込まれて
しまった国や国民を西側に連れ戻すことはもはやできない気がする。東西欧州の分断は簡単に解消できまい。黄泉国か
らイザナミを連れ戻そうとしたイザナギが目にしたのは、すでに腐敗して蛆にたかられたイザナミの姿だった。