スターマー政権、改革と支持率

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

7月に発足した英国のスターマー政権の支持率が急落している。新政権発足直後の100日間はハネムーン期間などと言わ
れて、国民から支持され、野党やメディアもお手並み拝見と批判を控えるのが慣例となっているが(1930年代の米国に
おけるルーズベルト大統領の談話が起源という)、スターマー新首相に対する世論の評価はすでにネガティブがポジテ
ィブを大きく上回り、与野党の支持率の差は1ポイントにまで縮まった。7月の総選挙で労働党は地滑り的な圧勝を達成
していただけに、急降下ぶりが目立つ。かつて同じ労働党のブレア政権が発足した直後は100日間を経ても首相がなお
高い人気を保っていただけに、それとの比較でスターマー首相の人柄や手腕に対して厳しい評価が下されつつある。し
かり、根強い人気のあったブレア首相がどれほどの実績を残したかを現時点から振り返ると疑問がある。国民の人気に
はさほど大きな意味合いはないとも言えそうだ。政界の人材が全体として矮小化している21世紀においてカリスマ的な
政治指導者を期待すること自体に無理があるとも考えられる。スターマー政権はエネルギー政策や労働政策で矢継ぎ早
に改革を打ち出している。性急な評価を控えて、改革が実を結ぶかどうかをじっくり見守るべきだろう。