2つのラファ

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

ラファ、といっても、パレスチナ南部の都市のことではなく、2022年までに全仏オープンテニスで14回優勝という前人未到の偉業を達成したラファエル・ナダル選手のことだが、今年は寂しく1回戦で敗退した。第4シードのズベレフ選手を相手に、第2セットと第3セットは途中までリードするなど善戦したので、決して不名誉な敗北ではなかったが、両者のパワーの差を見ると、やはり時代の流れを感じざるを得ない。ナダルが10代で登場した時期には、驚異的に思われたトップスピンも、ズベレフのように2メートル近い長身のプレイヤーにはさほど威力を発揮しない。超人的だった脚力の衰えも顕著で、長いラリーでしばしば打ち負ける姿を見るのは少々悲しい思いだった。試合後のインタビューでは、まだ引退を決意したわけではないと語っていたが、体を酷使するプレイスタイルなだけに、2022年のような奇跡の復活は望めそうにない。
パレスチナのラファももちろんホットな話題だが、こちらはいっそう悲惨で嘆かわしい。イスラエル軍の空爆が引き起こしした多数の民間人死傷者についてネタニヤフ首相は「悲劇的なミステイク」あるいは「悲劇的なアクシデント」と形容したが(英語報道で2つのバージョンがあるのは、翻訳の問題か?)、これは国際世論の共感や支持を得ることをもう完全に放棄した傲慢なコメントのように思われる。外交的には最悪のダブルフォールトだろう。