ドイツで4月1日から大麻の消費が合法化された。大麻に関する法制度は国により大きく異なるが、どれが適切か判断するのは難しい。どこの取り締まりもさほど芳しい成果を上げているようには見えない。フランスでも大麻の消費はほぼ日常茶飯となっており、法による禁止は形骸化している感があるが、大麻の密売が犯罪の温床になっていることも確かだ。いまさら大麻の流通を阻止することは現実的ではないだけに、せめて合法化することで、犯罪組織の資金源を断つという考え方には一理ある。ただし、民主国家における麻薬の取り締まりは必然的に生ぬるいものにならざるをえないから、この考え方を推し進めると、よりハードな麻薬についてもどんどん合法化するほかないという流れにならざるを 得ない。それはさすがにマズイだろう。根本の問題は麻薬の需要が途絶えることがないことにあるわけだが、こればかりは法律の力では解決できない。解決法があるとすれば、広義の教育(家庭・学校・社会)の徹底だが、多くの国で教育の崩壊がなし崩し的に進んでいるだけに、期待はできない。大麻の有害性をめぐっては議論があるが、特に若者の脳に及ぼすダメージが懸念されている。しかし、もともと大麻を欲しがる若者の脳はすでに幾分か不調になりかけているのかも知れず、また大麻以外にも脳に悪い要素はたくさんある(アルコールや運動不足や勉強不足)のだから、いまさら不安がるのも偽善かも知れない。