死刑について

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

死刑の廃止を実現したことで知られるフランスのバダンテール元法相が亡くなった。筆者は個人的には死刑を支持しているが、バダンテール氏がフランスや欧州の法制史に大きな足跡を残した法律家であることは議論の余地がない。同氏は同性愛者の法的権利擁護でも知られ、英国出身の仏在住ジャーナリストとして有名なアレックス・テイラー氏などはバダンテール氏の言葉がフランスに定住する動機になったと感謝の念を込めた追悼の言葉を述べている。ちなみにバダンテール氏が死刑から救ったパトリック・アンリ被告人は無期懲役刑になったが、25年の服役の後に仮釈放された。しかし、その翌年にはまた犯罪(殺人ではないが)をおかして、刑務所に逆戻りした。犯罪者に再犯のチャンスを与えることにどのような意義があるのか筆者には全く理解できないが、死刑廃止論者の目には、なんどでも犯行を繰り返すこういう元気な犯罪者が好ましい人間像にうつり、生かしておきたくなるのかも知れない。アンリ被告人を死刑に処さなかったことでフランス社会が得たものは何なのだろうか。どのような凶悪犯罪が起きても死刑を復活させる本格的な動きはみられないから、なにかとてつもなく重要なものなのだろう。再犯を粛々と受け止める人々を支えているのは、例の「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」いう伝統的倫理なのかも知れない。そうであるならば、 典型的異教徒である筆者の理解の埒外であるのも当然だろうと、少し納得できる。筆者には、やはり伝統的倫理である「目には目を歯には歯を」のほうがわかりやすい。