フランスでも出生率が低下

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

欧州では比較的高い出生率を維持している国とみなされてきたフランスだが、このところ出生率が低下していることが判明し、大統領も少子化対策に本腰を入れる姿勢を打ち出した。しかし、自らの夫を「脱構築された男性」と称揚するなどラディカルなフェミニストとして知られるサンドリーヌ・ルソー下院議員(環境派野党)はこれに抗議し、「女性たちの子宮は国が介入すべき問題ではない。各々の女性には子どもを作るかどうかを選択する自由がある」と指摘。さらに、専門の経済学(経済学博士、大学教員)の見地からも「フランスの経済システムにおいては、子どもを増やす必要はないとエコノミストの立場から言える」と言明した(ルソー議員がどういう経済理論を根拠に、少子化対策は不要と言うのかは詳しい説明がないので不明)。筆者はめったにルソー議員の見解に賛成できないのだが、少子化に関しては必ずしも悲観すべき現象ではないという気がしている。確かに、短期的には年金制度や労働力・生産力・競争力などに悪影響が及ぶことはわかる。また少子化がいつまでも続けば最後には人類の滅亡に至ることも確かだ。しかし、長い目でみて、世界全体で(自然にか人為的にかは各国・地域の事情にもよるが)漸進的に人口を減らし、今の半分 (40億人)あるいは4分の1(20億人)ぐらいの水準になったところで安定化させることができれば、気候変動や食料危機など様々な問題が恒常的に解決するのではないだろうか。人が少なくなれば、その分、人命の貴重さに対する意識も向上し、子どもをいっそう大切に育てるだろうし、戦争なども減るのではないか、 などとやたら楽観的に想像してみたりするのだが、これは単なる無責任な夢想に過ぎないのだろうか?