セルフレジの普及

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

最近はセルフレジの性能が急速に向上し、量販店の店舗が刷新されるたびに、多数のセルフレジが設置され、レジ要員の必要性が低下している。従来のレジ係の一部は、セルフレジに慣れない顧客をアシストしたり、セルフレジにバグが発生した場合に対処する役割に転じており、以前とは異なる作業体制への適応を求められている。インフレの亢進や貧困化に伴い、万引きなどの犯行も増えている中で、店舗の完全無人化はまだ無理があるが、警備員のみを置いて、夜間や日曜日などに営業する試みを進める小売店もあると聞く。人間のレジ係がいる場合には法的規制や労組の反対により、営業時間帯が限定されるが、会計を機械に任せてしまえば、こうした制約を逃れることができる。初期投資は必要だが、機械は残業代を要求しないし、疲れると苦情も言わない。人手不足も解消できる。レジ係との会話を通じた人的なコンタクトを楽しみに来店する顧客もいるだろうが、今後にAIなどが本格的に導入されれば、気の利いた会話で顧客を喜ばせるセルフレジだって登場しそうだ。機械は不機嫌だったり、苛ついたりしないので、顧客も不愉快な目にあうリスクは確実に回避できる。対人恐怖の気味がある顧客にとってはバラ色の時代が到来しつつある。もちろん、セルフレジにもデメリットがあり、人間のレジ係にも機械にはない長所がたくさんあることは確かだが、固定電話が携帯電話やスマホにとってかわられたように、逆方向への変化は考えにくい。気候変動の進行で壊滅的な自然災害が起きたり、ウクライナやイスラエルを巡る対立が新たな世界大戦にエスカレートしたりして、文明が一気に振り出しに戻れば、人間の店員が活躍する機会も再来するかも知れないが、そういう破局的な状況を待たずに人間の有用性を維持する対策を考えざるを得ない時代がそこまで来ているようだ。