全仏オープンテニスとフランス人選手

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

パリ西郊のローランギャロス・スタジアムで恒例の全仏オープンテニスが進行中。今年はフランス人ヤニック・ノアの男子シングルス優勝(1983年)40周年ということで、記念式典も行われるが、これがフランス人選手の奮起を促した気配はなく、2回戦までにフランス人は全員敗退した。大会のスポンサーであるバーガーキングの広告には、「決勝でフランス人を見たことある?」「あるよ」「ええ、いつのこと?」「毎年、決勝でフランス人の観客を見るよ」という大胆なセリフがあった(集客効果は疑問だが)。今年も決勝にフランス人選手が進出しないだろうことを見越した確信犯的なおちょくりである。まあ、女子はともかく、過去40年間にフランス人男子は誰一人勝っていないのだから、何を言われても文句は言えまい。近年のフランスには「四銃士」と呼ばれた才能豊かな同世代の4人の男子選手がいたのだが、デビュー当初には四大大会の優勝が期待された彼らも1度の優勝も達成できないまま寂しく引退の時期を迎えている。その間に、同年代のナダルが全仏のタイトルをほぼ独占し、やはり同年代のワウリンカも全仏を含む四大大会優勝を果たしているだけに、「四銃士」の不甲斐なさがいっそう際立つ。「四銃士」の一人ジル・シモンは自分を含むフランス人の弱さには文化的な問題があることを指摘している。確かにフランス人選手に共通のメンタルの弱さは傍で見ていても明らかだが、これは一体何に起因しているのか? ヤニック・ノアは「フランス人は若い時からルーザーに囲まれて、負けることに慣れきってしまっている。少し外国に出て学ばないとダメだ。フランスではコーチも全員がルーザーだ。現役時代に勝った経験がないやつがコーチになっているからだ」と手厳しい。この意見の妥当性はともかく、ノアが勝てたのは、生粋のフランス人ではなく、父親がカメルーン人のハーフで、幼い時期をカメルーンで過ごしたおかげかも知れない。技術的には弱点の多い選手だったが、臆すことなく果敢に攻めて、迫力で相手を圧倒してしまうノアの戦いかたを若手は少し見習うべきかも知れない。なお、ノア自身はテニスコーチにはならず、ミュージシャンに転身して、ヒットを飛ばしている。勝ち方を知っているのだろう。