一部のEU加盟国、内燃エンジン車の新車販売禁止に抵抗

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

EUでは2035年をもって内燃エンジン車の新車販売が禁止される見通しだったが、ここにきてドイツをはじめとする複数の加盟国がこの方針に抵抗を示し、決定が突然に先延ばしされるという異変が起きている。自動車業界は以前から、エミッション低減には応じるが、そのための技術的手段の選択権を要求しており、電動化の上からの押し付けには反発を示してきた。電動化で必ずしも先行しているとはいえないドイツやイタリアの自動車メーカーが、欧州委員会の電動化一辺倒の方針に異議を唱えるのは分からなくもない。そもそも自動車部門に限らず、欧州委員会の政策決定はイデオロギー的な性格が強く、エビデンスベースの決定とはいえない面があり、これは特に気候変動対策で著しい。別に気候懐疑論まで考慮しろとは言わないが、「多様性」の価値観を称揚するわりに、欧州委員会は意見や技術の多様性を無視して、1つの方向に突っ走る傾向がある。ただし、やはり一方方向に突っ走る傾向があり、しかもいったん方向が決まると高速でダッシュできる能力を備えた中国メーカーが、安価で性能も悪くないEVを続々と投入して欧州市場にも食い込み始めている。欧州メーカーがうじうじと選択を迷っていると、20年後の欧州市場は中国車に席巻される可能性もある。類似の事態は、例えば、すでにパソコン市場やスマホ市場で起きたことを忘れてはならない。