辞任後に再び元の会社に就職する「出戻り社員」が増えている。会社側にも利益があって復帰に応じるケースが多いという。
LinkedInの集計によると、2022年の転職者の2.38%が「出戻り社員」であるという。この割合は2019年の1.75%に対して明確に増えている。部門別では、金融(5.07%)と自治体向けサービス(4.13%)で割合が大きい。別の調査によると、出戻り社員の32%は管理職だという。
古巣に戻る人の多くが、転職先の企業文化になじめずに復職を決めたと説明している。労使ともに就職を「結婚」のようなものではなく、ただの契約として考える風潮が浸透し、辞任と復職のいずれも、双方とも感情的にならずに対処できるようになったことが、出戻りが容易になった背景にある。会社側では、既に経験がある即戦力の人材を確保できることには大きな利点があり、円満退社の人材なら再雇用に応じる方が利益が大きい。待遇は昇格扱いで賃金も増額を認めるケースが多いという。ただし、ある調査によると、出戻り組の半数近くは、「再び転職するのもありだと思う」と回答しており、ブーメラン現象は、より根底的な「大退職時代」における一つの傾向ととらえるべきものかもしれない。