ワークライフバランス

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

仕事の仕方を改革する工夫が様々な分野で進められている。週休3日制などを導入し、できるだけ短い労働時間で従来と同じか、それ以上の成果を上げることが課題だが、その場合の「成果」は必ずしも達成された仕事の量を指しているわけではない。もちろん一定の仕事量を維持することはどのような職種でも必要に違いないが、これまでなんとなく時間を費やしてきた「不要な仕事」を明確に特定し、思い切って省いてしまうことで、能力と時間をより有効に活用することが重要になる。こうした工夫に、「生産性」という手垢のついた用語を使うことには躊躇いもあるが、生産性の向上がテーマの一つとなることは間違いない。ただし、仕事の仕方を改革するには、仕事以外の活動に費やす時間をいかにしてよりハッピーで充実したものにするかという視点も欠かせない。もちろん、仕事が生きがいで、仕事を自分のアイデンティーの核にしている人は好きなだけ働けばいいし(先ごろ102歳で亡くなったスーラージュに絵を描くのをやめて引退しろとは誰も言わなかっただろう)、生涯それを可能にするような体制を整えておく必要もあるが、そういう人はむしろハッピーフューだろう。平均余命が80歳という時代に、通常は働くのは人生の半分に過ぎないのだから、引退後だけでなく子供の時期も含めて、残りの半分をいかに充実したものにするかをより周到に設計する必要が今後はいっそう強まりそうだ(「ゆとり教育」の愚劣な間違いは繰り返してはならないけど)。翻って、筆者自身は残業が尊いと勘違いされていた時代に育ったので、効率をあげて、休むべきときに思い切って休むということがなかなかできないのだが、なんとか努力してみたい(と力むのが、この世代の悲しさか)。