パリ市議会、夜間のビジョン広告等の稼働停止を決定

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パリ市議会はこのほど、夜間のビジョン広告等の稼働停止を議決した。パリ市は今冬のエネルギー不足をにらんで、1年間で10%の省エネを実現することを目標に掲げており、そのための措置の一つとして導入する。政府は全国を対象にした同様の措置の導入を決めているが、こちらは2023年6月1日に施行されることになっており、今冬には間に合わないため、パリ市議会の多数派を担う環境政党の提案により、前倒しで導入が決まった。
具体的には、パリ市の屋外広告スペースの運営委託先であるクリアチャンネル社に要請して、23時45分から6時までの稼働を12月1日より停止する。広告ディスプレイのほか、一定時間おきにフイルムが巻き取られて複数の広告が随時表示されるタイプの広告スペースなど、照明と電力を投入するすべての広告が対象になる。また、やはり契約先であるJCドゥコーに要請して、市内のキオスクやバス停等の設備に設置されているビジョン広告等と、モリスと呼ばれる伝統的な広告柱の照明を、こちらは1時以降について停止する。メトロ及び鉄道駅の構内のビジョン広告等も、23時45分から6時までの時間帯について稼働が停止される。さらに、それより早く、11月1日からは、商店・ショッピングセンター、団体事務所、オフィスにおけるビジョン広告等が夜間停止の対象となる。パリ市は違反者に罰金処分を適用する方針。
パリ市は、2平方メートルのディスプレイの電力消費量は年間2000kWhに上り、これは子ども1人の世帯に匹敵する量だと指摘、節減効果もそれだけ大きいと説明している。これに対して、パリ市における野党の中道勢力は、広告が毎年、パリ市に3400万ユーロ、メトロ・バス等を統括するIDFMには1億ユーロの収入をもたらしていることを挙げて、思慮なく規制を導入するのは危険だと批判している。