共和国法廷、新型コロナへの対応不備でフィリップ元首相から事情聴取へ

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11日付のルモンド紙によると、共和国法廷(CJR)弾劾部の担当予審判事らは、新型コロナウイルス危機への対応を巡る政府の落ち度に関する捜査の一環で、当時のフィリップ首相の取り調べを24日に行うことを決めた。
共和国法廷は、閣僚が職務の遂行の過程で犯した犯罪を裁く特別法廷。案件の捜査を行う立場にある共和国法廷の弾劾部は、新型コロナウイルス感染症が世界的に広がりつつあった2020年1月以降の政府の対応について、複数の点で不備があった疑いで捜査を続けている。既に事件当時のビュザン保健相(2020年2月16日まで在職)が2021年9月の時点で予審(担当の予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き)の開始通告を受けており、フィリップ元首相も取り調べを経て予審開始通告を受ける可能性がある。
報道によれば、捜査当局は、「他人の生命を危険に陥れた」容疑と、「災害対策の意図的な放棄」の容疑の2件で元首相を追及している。元首相は、労働者の感染予防対策の導入が遅れたことや、それと関連したマスク備蓄管理の失敗の責任が問題視されており、さらに、災害発生時の対応体制を整える責務を果たすのを自ら知りながら怠った疑いでも追及を受けるという。後者の点では、2020年3月15日の市町村選挙第1回投票を強行し、危機対応の省間本部をその後の3月17日になりようやく設置したことが、自らが2019年7月時点で定めた危機時対応の規定に違反している疑いがあるという。
フィリップ元首相は2020年7月に首相職を辞した後、ルアーブル市の市長に復帰し、現在に至っている。連立与党に加わる右派政党「地平(オリゾン)」を率いており、2027年の大統領選挙への出馬にも意欲を見せているといい、予審開始が決まった場合には、政治的野心という点で目算が狂うことになる。なお、ビュザン保健相の後を継いで保健相に就任したベラン現政府報道官も、フィリップ元首相の後、数ヵ月中に取り調べを受ける可能性がある。