金利上昇で国債費増大が懸念材料に

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足元の金利上昇を受けて、国債費の増大が懸念されるに至っている。
国債費は2011年には445億ユーロに上っていたが、これが2020年には230億ユーロまで減少しており、マイナス金利のおかけで政府の国債管理にとっては夢のような時代が続いていた。しかし、インフレ亢進とそれに伴う金利の上昇で状況は一変した。既に2022年には、国債費は前年比で170億ユーロ余りの増加を記録し、422億ユーロにまで達する見込みとなっている。これは主に、インフレ亢進に伴い、インフレ連動型国債に係る負担が増えることに由来する。2023年には、物価上昇の勢いが鈍ることが予想され、それに伴い、国債費も375億ユーロまで低下するが、その後は再び増加に転じる。金利の上昇は、償還期限が来る国債の借り換えを通じてじわじわと国の負担を押し上げてゆく格好になる。政府は、10年物長期金利が2022年末に2.50%、2023年末に2.60%、2027年には3%まで上昇すると予想。この予想に基づいて、2027年の国債費を606億ユーロと予想している。これは2022年と比べて184億ユーロの増加となり、国の予算をそれだけ圧迫することになる。
2023年予算法案は、同年の国債発行額を2700億ユーロに設定しており、これは過去最高額となる。会計検査院のモスコビシ長官は、国債費の対GDP比が、2022年の1.8%に対して、2027年には2.1%へとわずかに上昇するのみであることを指摘し、フランスの債務は持続可能でファイナンスは可能だと説明しているものの、国債費の増加に関する政府予測は過小評価されている可能性があるとし、債務の厳正な管理が必要であることを強調している。