カナルプリュスがTF1グループ無料局の配信打ち切り:相互の提訴に発展

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

ビベンディ傘下のカナルプリュス(有料テレビ)が、自前の衛星放送サービスにおいて民放大手TF1グループ傘下局の配信を打ち切った件で、9月7日までに双方が訴訟に乗り出した。TF1はパリ商事裁判所にて、カナルプリュスに配信再開を要求する緊急審理の訴えを起こした。カナルプリュスはこれに対抗する形で、TF1を相手取った訴訟をナンテール商事裁判所に起こすと予告した。
カナルプリュスを含む配信事業者は、局側に料金を支払って配信を行っているが、地デジ無料局を有償で配信する立場の配信事業者側との争いは以前からあり、それが再燃した格好になった。カナルプリュスは、2年前に結ばれた従来の契約が8月31日付で期限切れを迎え、契約更新が実現していないことを理由に、9月に入ってTF1グループの無料局の配信を打ち切った。TF1側は、交渉を重ねてきたのに一方的に配信を打ち切るのはおかしいと主張し、カナルプリュスのサービスのうち、放送電波の届かない地域向けのサービスである「TNT Sat」において、ただちに配信を再開するよう求める訴えを起こした。このサービスは無償で提供されており、対象地域の人口は400万-450万人に上る。
この件では、政府も、視聴者が不利益を被らないようにする形で早期の決着を望むとするコメントを発表。放送電波が届かない地域のカバーについて、衛星配信事業者を対象とした法的義務はないものの、立法府の意図をくんで、視聴者のために放送を継続するよう求めた。
カナルプリュスの側では、契約が切れた以上、配信を継続すれば法令違反になると主張。大幅な料金引き上げを要求して契約の更新を妨げているのはTF1の方だとして、その責任を追及する訴訟を行うと予告した。