会計検査院、見習い研修制度の費用高を問題視

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会計検査院は23日、見習い研修制度に関する報告書を公表した。費用が高いことを問題視し、収支の適正化などを勧告した。
見習い研修制度は、働きながら資格を取得できる、いわゆるデュアルシステムの一つで、30才未満の若年者に提供されている。政府は失業対策の要と位置付けてその振興に力を入れており、2016年から2021年では、利用者数が43万8000人から79万9000人へと82%の大幅増を記録した。政府は特に、2018年9月に施行した法律により、見習い研修制度の制度改革を行い、上限を設けずに契約に応じて補助金を支給。また、2020年夏以降は、新型コロナウイルス危機に伴う雇用対策の一環で、見習い研修者を採用する企業向けの奨励金(5000-8000ユーロ)を導入した。会計検査院は、見習い研修の終了者の6ヵ月後就職率が、学卒者の同就職率に比べて高いことなどを挙げて、制度に効果があることを認めた上で、投入している費用が高すぎ、持続可能ではない点を問題視。見習い研修制度等の運営に当たる公的機関の収支は、2020年に46億ユーロ、2021年には32億ユーロと赤字続きであり、目先の手段で資金繰りを確保しているのが現状だと指摘。2022年には赤字がさらに59億ユーロへ拡大する見込みであり、奨励金の打ち切り(政府は年末までは継続すると発表済み)を含めて、収支を健全化する必要があると勧告した。さらに、見習い研修制度の利用者に占める高等教育機関の就学者の割合が50%を超えていることを指摘し、制度の本来の対象であったはずの低学歴者の就業支援という目的から外れていることも問題視した。