6月2日付の仏ルフィガロ紙は、今夏の休暇シーズンは急速な旅客増により混乱の発生が予想されると報じた。7-8月の航空券予約状況が新型コロナ危機前を上回る航空会社も出ており、回復は顕著だが、人員の確保などの準備がそれに追いついていない。航空関連部門(航空会社、空港、ケータリング、グランドハンドリング)では、新型コロナ危機を受けて大量の人員削減を実施したが、その後、旅客の回復に対応できる体制を確保できていない。米国ではパイロット、英国では客室乗務員、西欧諸国全般では空港地上係員(搭乗手続き、預け入れ荷物のハンドリング、保安検査など)の不足が深刻化し、運航便の遅延を引き起こしている。人手不足は短期的に解消される見込みはない。
鉄道部門では、仏国鉄SNCFの運行スケジュールが新型コロナ危機前へほぼ回復する一方で、利用者は運賃の高騰に不満を募らせている。INSEEによると、運賃は2022年までの1年間で14.6%上昇した。SNCFはこれについて、長距離路線で料金を引き上げておらず、INSEEの統計とは別に、実際に旅客が支払っている金額は大きく上昇していないはずだと主張している。
レンタカー部門では車両不足が料金を押し上げている。特に駅や空港の店舗では、新型コロナ危機により、2020年に車両数が大幅に削減された。その後、半導体不足の影響で新車の購入が困難になり、需要に比して車両が少ない状態に陥っている。こうした状況を後目に、料金が安い個人間の自動車レンタルが繁盛しているという。