テレコム・イタリアとオープン・ファイバーのネットワーク統合に関する合意が漸く成立

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テレコム・イタリアは5月29日、伊光ファイバー加入者回線敷設・管理のオープン・ファイバーとの固定インターネット・インフラ統合に関する仮合意に調印した。仮合意は、テレコム・イタリアに10%、オープン・ファイバーに60%出資している伊預託貸付金庫(CDP、政府系金融機関)とのもので、2年前から交渉の対象となっていたが、伊での政治的不安定や、テレコム・イタリアの株主構成の不安定さなどにより交渉は難航していた。
Istat(伊統計機関)によると、伊国民の25%近くがインターネットを利用せず、伊世帯の3分の1は、自宅にインターネット・アクセスを持たない。伊政府は、2026年までにすべての国民にブロードバンド・アクセスを提供すると公約したが、現時点では、公約実現は困難と見られる。伊政府は、故に、テレコム・イタリアとオープン・ファイバーの固定インターネット・インフラ統合を推進してきた。
本合意は10月31日までに成立の予定で、合意の発表は、夏のバカンス前に行われると見られる。テレコム・イタリアは、来る7月7日に、固定電話インフラ(NetCo)とサービス(ServCo)の分離を盛り込んだ業績立て直し計画を発表する予定。
オープン・ファイバーに40%を出資しているオーストラリアの投資銀行マッコーリーと、2021年にテレコム・イタリアに108億ユーロで買収を持ちかけた米投資ファンドのKKRも新会社NetCoに出資するが、新会社の経営権はCDPが掌握する。テレコム・イタリアの筆頭株主である仏メディア大手ビベンディは、新会社には出資せず、携帯部門、ServCo及びブラジル子会社にのみ出資を継続する。なお、正式合意の成立には、競争当局及びテレコム・イタリア株主の承認が必要となる。