バンデル脱税事件:MEDEFのセリエール元会長らに有罪判決

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

パリ地裁は20日、投資会社バンデルを舞台にした脱税事件の刑事訴訟で、14人の被告人全員に有罪判決を言い渡した。経営者団体MEDEFの会長を務めたセリエール氏(事件当時にバンデルの元会長)は執行猶予付き禁固3年と罰金3万7500ユーロの有罪判決を受けた。被告人らは10日以内に控訴することができる。
バンデルは2007年に改組を経て、経営幹部に対して総額3億1600万ユーロの利益分配を行った。この利益分配分を、企業継承等の促進を目的とした課税延期措置を利用して実質のない企業を設立して繰り入れ、後に転売するなどして課税を完全に逃れていた。この件は税務当局との間で係争に発展し、利益分配を受けた被告人らは2021年までに税務当局と和解し、追徴課税を受け入れている。今回の刑事事件裁判では、脱税を意図的に行っていたか否かが争われた。
被告人らは、税法違反は一切ないと主張したが、パリ地裁は、課税逃れ以外に目的を持たない行為は節税ではなく脱税に当たるとの判断を示し、被告人らの主張を退けた。また、2007年までに当事者間で交わされた電子メールなどを根拠に、金融に精通した高学歴の被告人らが適法性にまつわる懸念を意識していなかったはずはないとし、意図に基づいた行為であったと認定し、有罪判決を言い渡した。
事件当時のラフォンタCEOは、一連の仕組みの発案者として、自らの脱税と、脱税共犯の2件の罪により、執行猶予付き禁固4年と最も重い有罪判決を受けた。14人の被告人の全員が、3万7500ユーロの罰金刑(うち1人は執行猶予付き)を受けたが、この金額は事件当時の法令が定める最高額となっている(現在は50万ユーロに引き上げられている)。
なお、被告人らへのつなぎ資金の融資に応じたJPモルガン銀行は、別途検察当局との司法取引を経て、2500万ユーロの罰金を受け入れており、今回の有罪判決の対象とはならなかった。